私はそんなに可哀想ですか?
その日の帰り道、夕食を外で済ませようと店を探している時だった。

前を歩く女の子が向こう側から歩いて来た通行人とぶつかり派手に転んだ。ぶつかった相手は一瞥しただけでそのまま歩き去る。

「大丈夫?」

そう手を伸ばした時に女の子がバスの女子高生だと気が付いた。

「あ、はい、大丈夫です。ありがとうございます」

今時の子にしては珍しく礼儀正しく丁寧な言葉使いだった。

女の子は俺の手はとらず立ち上がると、軽く頭を下げてから歩いて行く。それから女の子は俺と道を違うまでの僅かな時間で通行人と2回、置いてある自転車に1回ぶつかった。

< 27 / 77 >

この作品をシェア

pagetop