私はそんなに可哀想ですか?
愛してる
それから俺は休みの度に向日葵園に出向き、コウタ君とキャッチボールしたり、男手のない向日葵園を手伝ったりした。

出来る限り明子ちゃんに普通に接する様心掛けてはいた。普通接する、と思っている自体が普通ではない証拠である。しかし、他にやりようもなかった。

ある日の朝のバスの中、隣に座る浅田が言った。

「御手洗君、恋してるわね」

俺は顔だけを90度動かして浅田を見て言った。

「突然なんなんだ?」

「だから、御手洗君はあの子に恋してるって言ったの」

「おいおい、そんな訳ないだろ。あの子はまだ16歳の高校生だぞ」

「あら、そんなの何も関係ないわよ。恋に時間も場所も年齢も、何もね」

俺は正面を向きなおし明子ちゃんに目をやる。

俺が明子ちゃんを好き?

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