私はそんなに可哀想ですか?
「何言ってんだよ、親心だって言っただろ」

「御手洗君こそ何言ってるのよ、親は娘をそんな目でみたりしないわよ」

「どんな目だよ」

「鏡、貸してあげようか?」

俺はまた丁重にお断りをした。

浅田の言う事に心当たりがないわけではなかった。ただ、それを認めるには歳を取りすぎていたし、たとえ俺が彼女に恋をしていたとして、それがこれから俺と彼女の人生になんら影響を与えることはないだろう。

つまり恋をしていようが、恋をしていまいがなんら意味はない。

その日は会社の定期健康診断があり、俺は早目に退社向かった病院で明子ちゃんに会った。

「あれ?御手洗さん、どこか悪いんですか?」

「いや、会社の健康診断だよ。明子ちゃんは定期検診?」






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