私はそんなに可哀想ですか?
「はい、毎回待ち時間が長くて嫌になっちゃいます」

「そうだね、診察時間は5分とかなのにな」

そんな軽い会話をしている時だった。不意に何処からか『網膜色素変性』とゆう言葉が聞こえた。

「どうして私がこんな目に合わなきゃいけないのよ・・・」

どうやら後ろの席に掛けている人らしい。

「落ち着け、すぐに見えなくなるわけじゃないんだろ?」

「でもいつか必ず見えなくなるのよ!治療法もないって!」

感情が溢れて止まらないのだろう、無理もなかった。

俺は隣に座る明子ちゃんに視線を動かした。




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