四面楚歌-悲運の妃-



けれど、いざ会って話すとそんな疑問など浮かびはしなかった。


ただ…なぜか懐かしく



初めて会った気がしなかった。



「何者であれ、彼女の忠誠心は本物でしょうな…。あれだけ武術に長け、強い忠誠心…彼女の様な軍妃はこの先なかなかいますまい。しかし…妃としては…」


范夷扶はそう言いかけて先を言うのをやめると、私の顔を見た。


妃としては…か…


范夷扶の言葉は、仮面が有る限り妃としては呼ぶ事はないと言いたかったのだろう。


しかし私は仮面を着けていても、昭儀として着飾る物は充分に与えているはずだ。


けれど着飾る事もなく、ただ軍妃として私を守る事のみを強く願っている様だった。


後宮の他の軍妃達は妃としても寵を得ようと着飾っている。



皇帝とし世継ぎをもうけなければならぬ前に、私も皇帝である前に男だ。


美しい娘を選び、床に呼ぶ。


それ故、仮面をつけてる己は、妃としては役にたてないと思っているのだろうか?


「琴冥紗がそんなにお気に召されましたか?陛下。」


考え混み何も言わない私に、問いかける。


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