【完】『空を翔べないカナリアは』

〔3〕


年が改まった。

去年から鶴見を離れていた美姫が帰省で戻っていたので、美優と貴慶は久しぶりに美姫に会いに行くと、

「相変わらずラブラブだねー」

とからかわれる。

「やっぱり北海道って寒いの?」

「マイナス五度とか普通に見るからね、寒いよ」

札幌の女子大に入った美姫は独り暮らしを謳歌しながら、早速向こうでも彼氏が出来て、付き合っているらしかった。

「マイナス五度って…冷蔵庫やん、なぁ」

貴慶は肩をすぼめた。



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