天神学園の奇妙な案件
そんな事を思っていると。

「…蛮」

背後でか細い声がして、蛮は振り返る。

赤いポンチョを羽織った少女が、居心地悪そうに立っていた。

居心地悪いのは、蛮とお互い様か。

「お…おはよう…」

「ああ…おはようルナ」

両者共に、ポショポショと小さく挨拶する。

「あの…蛮…昨日は…」

「いいよ、昨日の事は…」

ルナが何を言わんとしているのか気付いて、蛮が言葉を遮る。

「あれえ?」

蒲公英が不思議そうに、ルナの横顔を眺めた。

「ルナっちの方から真久部っちに挨拶するなんて珍しい。何時から仲良しになったの?」

「え…?」

妙に鋭い蒲公英の指摘に、微かに頬を赤くするルナ。

「昨日の事って何?何かあったん?」

「何でもないよ…」

「なぁんか意味深なやり取りだったよ?何があったん?教えてルナっち」

「何もなかった…ぽぽちゃん知りたがり過ぎ」

「えー?何でぇ?教えてぇ?」

「何でもないってば…しつこいと噛むよ?ぽぽちゃん」

背中から覆い被さる蒲公英に、ルナはプイとそっぽを向いた。

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