天神学園の奇妙な案件
「このっ…!」

ルナが動いた。

昼日中ではあるが、真祖ツェペリ一族直系の彼女ならば、そのような事は問題にはならない。

龍一郎とティーダを蹴散らしたバルトメロイに詰め寄り、右手を振り下ろす。

その瞬間、剃刀並みの切れ味を持つ鋭い爪が伸び。

「!?」

その爪は、バルトメロイの体に触れた途端に折れた。

「……」

先程までとは打って変わった、凶暴で壮絶な笑みを浮かべるバルトメロイ。

振るった杖がルナの身に直撃する寸前で。

「ルナ!」

瞬時に数メートルまで伸びたすずの手が、ルナの腕を摑んで引き寄せた。

間一髪、空を切った杖は地面を叩き、大きな爆発を起こして砂埃を舞い上げる。

「私達だけじゃ無理なの、ヴラド学園長に応援を…」

すずが言いかけるが。

「無理だな」

獣性魔術を行使しても理性は保てるのか、バルトメロイは言った。

「私が何故最初に桜の結界に干渉したと思う?ただ抉じ開けて学園敷地内に入る為ではないのだよ?」

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