天神学園の奇妙な案件
周囲の声を他所に、龍一郎は黙々と己の稽古を続ける。

地を蹴って勢いをつけながら顔面に掌打を放つ迎面一腿加戳掌(げいめんいったいかたくしょう)、突き上げと膝蹴りを同時に行う迎門鉄臂(げいもんてっぴ)、突き手を逆の手で支えながら打ち下ろす撃襠捶(げきとうすい)。

これまで身に付けた技に加えて、新たに覚えた技も交えながら、型稽古を繰り返す。

タイマントーナメントまでは1か月だ。

奥義絶紹の類を覚えようにも、期間が短すぎる。

今は、己の技を復習し、磨きをかける事に専念するしかなかった。

…ルカは魔術師だ。

基本的に、接近戦は挑んでこないだろう。

そして、只の打撃は無効化するような術も持っているだろう。

その辺はバルトメロイとの戦いで、嫌というほど思い知らされている。

こんな稽古が役に立つのかどうか。

不安は残る。

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