天神学園の奇妙な案件
「私はずっとこの家いるし、すず先生は夕城のお屋敷だよ。ティーダっちは中華街の早川 麗龍(はやかわ らいと)さんの家。あとリュートとベルって誰?ゲームキャラの名前?」

「……はあ?」

今度は龍一郎が怪訝な顔をする番だった。

「リュートはお前んとこの息子だろうが。ベルは俺とすずの娘、すずは夕城の屋敷って、ここが夕城の屋敷じゃねぇか…よ?」

言いかけて、気が付く。

この間取り、この部屋。

ここはよく見ると、夕城の屋敷ではない。

ここは、龍一郎が暮らしていた橘の実家ではないか。

俺、実家に泊まりに来たっけ?

「はぁあぁぁあぁあっ?」

蒲公英が素っ頓狂な声を上げた。

「誰と誰の娘だってぇ?兄ちゃん妄想もいい加減にしないと、すず先生にキモがられるよっ?幾らすず先生がナイスバデーの可愛い教育実習生だからって!兄ちゃんキモーい!それに!」

蒲公英は手にしたお玉を、龍一郎に突きつける。

「私に息子なんていないよ!彼氏だっていないのに!誰との息子なのさっ!」

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