優しい魔女は嘘をつく

「急にどうしたの?」



「ううん、別に。なんでもないよ」




咲良が何故か悲しそうな表情をしているように見えたので、私は思い切って言った。




「咲良、言いたいことはちゃんと言わなきゃだめだよ?私でいいなら、いつでも相談乗るんだから」



「……うん、そうだね」








果夏と何かあったとして、もしそれが喧嘩だったなら、きっとどちらかが謝れば許してくれるはず。




でも、どっちか謝れ!なんて私には言えないからなぁ……自然に戻るのを待つしかないか。




薄汚れた廊下を踏む度に、上履きがペタペタと音を鳴らす。



窓の外を見ると、グラウンドに向かっている一年生の姿が見えた。




咲良はというと、隣で抜けるような青空を見つめて、その眩しさに目を細めていた。

< 20 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop