優しい魔女は嘘をつく
”チョコケーキ”という言葉に反応した堂本くんは、もう隠しても仕方ないと思ったらしい。
「……そうだけど」と、目を合わせずにぼさっと言った。
そこで私は、あることを思い出して「あ」と声をあげた。
「すぐに行かないと売り切れちゃうかも。あれ、すっごく人気だから」
「は?嘘だろ?」
堂本くんの声が裏返る。「本当だよ?」と笑って言うと、堂本くんは焦ったように目を開いた。
すぐ、ひったくるようにして自分の机の上にあった鞄を取った。
「またね」と言った私を無視して、慌てて教室を飛び出していった堂本くん。
よっぽど好きなんだろうなぁ。心の中で呟くと、思わず笑みがこぼれた。
堂本くんが出ていってからしばらくすると、私はまた昨日と同じように机に突っ伏した。