【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
「お前……俺の事好きだろ?」
「は……?」
急に真っすぐ見つめられたと思ったら、いきなりの質問に麻耶は頭が真っ白になった。
「お前、好きでもない男と寝るような女なの?」
急に突きつけられた言葉に麻耶は言葉が見つからなかった。

「それは……」
好きという事を認める訳には行かず、麻耶は言葉を濁した。

「俺の事好きな女とは、もう一緒にいられない」

その言葉に、麻耶の瞳から涙が零れ落ちた。
「なんで?なんで好きな事すらダメなんですか?そんなに私が迷惑だったんですか?」

「俺は誰も愛さない」

(誰も愛さない。誰の物にもならない。そんな事は解ってる)


立ち上がり自分の部屋に向かおうとした、芳也の後姿に麻耶はギュッと抱きついた。

「……それでもいいです。ねえ、それでもいいから。私はそばにいたいです。愛してくれなくてもいいから。ねえ、お願い」
麻耶は芳也を抱きしめる腕に力を込めた。

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