【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
毎日忙しく過ごすうちに、あっという間に明日、健斗と唯奈の式を控えて麻耶は最終確認に追われていた。

他のスタッフもいくら身内だけの式とはいえ、世界のミヤタグループの副社長の式という事で、VIP感が漂い緊張した空気が張り詰めていた。

「麻耶ちゃん、明日だね」
美樹も興奮したように声を掛けた。
「はい、ドキドキしますよね」
「だって、チラリとみたけど、副社長めちゃめちゃ素敵だよね!それに、新婦様もすごくキレイ。美男美女って言葉はあの二人にあるんだなって思ったもの」
うっとりした美樹に麻耶も頷いた。

健斗は芳也とは違うタイプだが、やはりすごく整った顔をしている。
そして、やはり笑顔が似ているなと麻耶は思う事があった。

「お色直しは1回?」
「はい、新郎様は白、カラー、色打掛をご希望されてたんですけどね。それに反してご新婦様は白だけで良いって」
苦笑した麻耶に、
「きっとあのキレイなご新婦様のいろいろな姿を見たいのよね」
「そうだと思います。結局間を取って、白と色打です」

手元の進行表と、発注リストを再度確認して時計をチラリと見た。
「事前搬入にもうすぐお見えになると思います」
「そうなんだ。いってらっしゃい」
「はい」
麻耶は席を立つと、エントランスへと向かって歩き出した。

(芳也さん……どうするつもりだろう?)
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