【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
「麻耶、不安にさせてごめん。きちんと話はするつもりだった。でもまだ曖昧で少し話が固まったら麻耶にも話そうと思ってたんだ」

その言葉に、とうとう別れの言葉を言われるのかと、麻耶はギュッと目を瞑った。

その予想とは反対に、ギュっと強く後ろから抱きしめられ麻耶はびっくりして目を見開いた。

「麻耶、お願いがあるんだ」
「なんですか?」
低い真面目な声で言われて、麻耶も擦れた声を出した。

「俺がどういう結論をだしても俺についてきてほしい」
「どういう意味ですか?」
「麻耶は俺が何も持ってなくて、社長でなくても好きになってくれた?」
その言葉に麻耶はカッとして、芳也を見た。

「当たり前です!私は芳也さんが社長だから好きになった訳じゃありません!優しくて、強くて、そして少し弱いところもある。そんな芳也さんだから好きになったんです!」
その言葉に芳也は嬉しそうに笑顔を見せ、
「麻耶、俺の好き人は麻耶だけだし、絶対に麻耶を裏切るような真似はしない。ただ今麻耶に話して甘えてしまいたくないんだ。俺の思う通りにさせてくれる?」
麻耶はじっと芳也の瞳を見つめると、大きくため息をついた。

「解りました。芳也さんを信じます。けど、芳也さんは無理しないでください。芳也さんが体調を崩したらどうしようもないです」
「ありがとう」
これでもかと抱きしめた芳也に、「苦しい……」それだけを言うと、麻耶も芳也の背中に手を回した。

「芳也さんご飯は?」
「今は麻耶が欲しい……」
「ダメです!体が資本……んっ!」
「麻耶は足りない方が俺には問題だ……」

久しぶりに感じる芳也の熱に、麻耶も自ら芳也の首に腕を回すと芳也にキスをした。
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