主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-③
数日後、輝夜に頼まれた晴明は早速式神を総動員して、空から陸から目下目的の人物を探した。
晴明の手にかかれば大抵の問題は解決する。
「ふむ…毎日幽玄橋の向こう側を見ている女子が居る、と?」
「はい。とても痩せている女子です。独りで平屋に住んでいるようなのですが…先が長そうにありませんでした」
「…そうか。ご苦労だったね」
水干姿の男の童子の姿をした式神が頭を下げて下がった後、晴明は早速牛車に乗って幽玄橋を渡って主さまの屋敷に着くと、縁側に座ってふたりで一冊の本を読んでいた朔たちに声をかけた。
「やあ、待たせたね」
「お祖父様。あの…父様と母様にはまだ…」
「ああ、全ての事情が分かってからでいいだろう。輝夜、そなたが探している女子を見つけたから報告に来たよ」
この時主さまは百鬼夜行から戻ってきたばかりで寝ていて、息吹は子供たちの世話をしていたためその場には居なかったが、気配を察して雪男が現れた。
「晴明か。…屋根の上に銀が居るから大きい声で話すなよ」
「心得ている。隣失礼するよ。…で、そなたたちが探している女子は、やはり息吹の実の母だったよ」
――やっぱり。
皆が顔を見合わせてなんとも言えない表情を浮かべた。
今になって会いに来るとは一体どういうことなのか。
どの面下げて会いに来たのか。
「毎日幽玄橋の向こうのこちら側を見ているそうだ。どうやら病に伏しているらしく、長くはないらしい。そなたたち、息吹に会わせる前に会ってきてはくれぬか。父代わりとして頼むよ」
晴明に頼まれてすぐ頷いた朔と輝夜は、今度は苦い顔をしている雪男をじっと見上げた。
「…分かったよ連れて行けばいいんだろ。乗りかかった船だ、仕方ない」
「やっぱりお前は使える奴だな。俺の側近にしてやる」
「だからそれは褒美じゃなくて罰だって言ってんだろが」
死の間際に捨てた娘に会いに来たのか――
聡明な晴明でも、どんな心情で息吹に会いに来たのかその心を推し量ることができなかった。
晴明の手にかかれば大抵の問題は解決する。
「ふむ…毎日幽玄橋の向こう側を見ている女子が居る、と?」
「はい。とても痩せている女子です。独りで平屋に住んでいるようなのですが…先が長そうにありませんでした」
「…そうか。ご苦労だったね」
水干姿の男の童子の姿をした式神が頭を下げて下がった後、晴明は早速牛車に乗って幽玄橋を渡って主さまの屋敷に着くと、縁側に座ってふたりで一冊の本を読んでいた朔たちに声をかけた。
「やあ、待たせたね」
「お祖父様。あの…父様と母様にはまだ…」
「ああ、全ての事情が分かってからでいいだろう。輝夜、そなたが探している女子を見つけたから報告に来たよ」
この時主さまは百鬼夜行から戻ってきたばかりで寝ていて、息吹は子供たちの世話をしていたためその場には居なかったが、気配を察して雪男が現れた。
「晴明か。…屋根の上に銀が居るから大きい声で話すなよ」
「心得ている。隣失礼するよ。…で、そなたたちが探している女子は、やはり息吹の実の母だったよ」
――やっぱり。
皆が顔を見合わせてなんとも言えない表情を浮かべた。
今になって会いに来るとは一体どういうことなのか。
どの面下げて会いに来たのか。
「毎日幽玄橋の向こうのこちら側を見ているそうだ。どうやら病に伏しているらしく、長くはないらしい。そなたたち、息吹に会わせる前に会ってきてはくれぬか。父代わりとして頼むよ」
晴明に頼まれてすぐ頷いた朔と輝夜は、今度は苦い顔をしている雪男をじっと見上げた。
「…分かったよ連れて行けばいいんだろ。乗りかかった船だ、仕方ない」
「やっぱりお前は使える奴だな。俺の側近にしてやる」
「だからそれは褒美じゃなくて罰だって言ってんだろが」
死の間際に捨てた娘に会いに来たのか――
聡明な晴明でも、どんな心情で息吹に会いに来たのかその心を推し量ることができなかった。