甘いチョコとビターな彼


「フッフフッフフーン♪」


人の少なくなった廊下を、上機嫌で歩いて行く。


「もっうすぐ自動〜はんばーいき〜♪」


勝手に作った即興ソングを歌いながら角を曲がろうとすると、


ドンッ


「「わっ」」


向かい側から現れた誰かに私は勢いよくぶつかってしまった。


「ご、ごめんなさいっ!大丈夫ですかっ?」


目を閉じていた私は、至近距離にいる誰かを見上げて声をかける。


「っ、わぁ…」


すっごいイケメンだぁー……。


目の前に立つその人は、眉間によったシワがあってもわかるほど整った顔立ちをしていた。


「いや、こっちこそごめん。ケガない?」


「あ、はいっ!私は大丈夫で…あ、」


「ん?」


青色のネクタイ……私と同じ2年生だ。


「なに?」


「な、なんでもないです!ごめんなさいっ!」


不機嫌そうな顔を見せた彼に慌てて頭を下げると、フワッとある香りが鼻腔をくすぐった。


「え────」


この香りって…


「ショコラ・エテルニテ?」


「っ────!?」


「わっ!」

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