政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
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いつものように夕食後、将吾さんのお部屋でそれぞれのことをしていた。

「……いつも弁当だったんだな?」

めずらしく将吾さんが問いかけてきた。
でも、ノートPCから顔を上げないままだ。
ブルーライトカットの眼鏡をかけて、仕事モードである。

今日、お昼休憩のときにわたしを呼び出した際に、わたしがグループ秘書の誓子(ちかこ)さんと七海ちゃんとお弁当を食べていたのを初めて見たのだった。

「そうだけど、なに?」

わたしも見ていた今月号のゼクシィから顔を上げずに答える。

「静枝さんにつくってもらってるのか?」

キーを叩く音が部屋に響く。

「まさか……キッチンを借りて自分でつくってるわよ」

キーの音が突然止んだ。

「おまえ、料理ができるのか?」

顔を上げて、意外そうにしている。

……失敬なっ。

「一応、家庭料理くらいだったらできるよ。料理教室には通ったことないから、本格的なものは無理だけど」

しょっちゅう食べ歩きをして研鑽を積んでいる再従妹(はとこ)の蓉子は、洋食ではカフェ並み、和食では小料理屋並みに料理ができるが(夫になった慶人は、毎日美味(おい)しいものが食べられてほんと幸せだと思う)わたしはそこまではできない。

「……なんで、おれの弁当はないんだ?おれのも、つくれよ」

……えっ?

「お昼は出先で外食とかが多いでしょ?ランチミーティングでは有名店の仕出し弁当だし。あれ、すっごく美味しそうじゃん」

グルメ番組でよく紹介されているお店の松花堂弁当だよ?

「おまえ、秘書だろ?そういうのがない日に、なに食ってるか知ってるだろ?
……テイクアウトの吉牛だぞ」

……確かに、七海ちゃんに買ってきてもらって食べてるな。あと、コンビニ弁当とか。

「わかったわよ……じゃあ、島村さんの分とつくるね」

分量が増えるだけなので、そんなに手間ではない。

「なんで、茂樹の分までつくるんだ?
……あいつは吉牛のままでいいっ」

将吾さんは一気に不機嫌な声になった。

そのとき突然、彼のケータイに電話がかかってきた。会社用の方だ。

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