政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

結婚式と披露宴を二ヶ月後に控えるようになってくると、今までこんなにのんびりしてて大丈夫?と思ってたのが幻だったかのように、いろんなやるべきことが出てくる。

わたしたちの場合、招待客や料理および引き出物などは会社関係でやってくれるのでいいとして(言い換えると、好き勝手にはできないということだが)さすがにウェディングドレスやタキシードは自分たちで選ばねばならない。

しかし、「二月は逃げる」というように、あっという間に月半ばになった。
月末には、再従兄(はとこ)の大地の結婚披露宴に出席しなければいけない。

仕方なく、わたしはこの週末、所用で行けない将吾さんの代わりに、母親と一緒にウェディングドレスの試着に行った。

婚約指輪(エンゲージリング)を、将吾さんの秘書である島村さんと選びに行ったときにはいい顔をしなかったわたしの家族も、彼の人となりを知るにつれ、逆に『彩乃が一人でできることは将吾さんの手を煩わせてはいけない』と言うようになっていた。

とはいえ、ウェディングドレスを選ぶのに母親を連れてきたのは思いがけない「親孝行」になった。初めはオーダーでと思っていたのだが、日もないことだし、一回しか着ないのにその後ずーっと捨てられない代物なのがどうにも厄介で、結局、新品のものをレンタルすることになった。

そのおかげで、一人娘の(たぶん)一生に一回の晴れ舞台を彩るドレスを『ウェディングドレスはこれがいいわねぇ』『カラードレスはあれもいいんじゃない?』と嬉々として選んでいる母親の姿を見ることができた。

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