政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
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自分の部屋のクローゼットから衣服と下着を取り出し、隣のパウダールームに入って着替えた。

そして、また自分の部屋に戻ったところで、間の扉が開き、将吾さんがつかつかと入ってきた。
わたしの顔を見るなり、眉間にシワを寄せる。

「……スマホの電源をなぜ切った?」

彼の問いかけに、わたしは平然と答えた。

「充電が切れたの」

ウソだった。自分自身の意思で切ったのだ。

「充電器くらい、どっかで買えよ」

将吾さんはやけにいらいらしていた。

「たった一日スマホが使えなくても、別に不自由しなかったわ」

わたしはきっぱりと言った。

「……彩乃」

将吾さんがわたしの腕をとって、引き寄せた。
あっという間に、彼の腕の中だ。

「あんなLINE送ってくるなよ……もう、帰ってこないんじゃないかと思った」

ぎゅっ、とわたしを抱きしめる。

わたしが送ったLINEの言葉は、
【実家に帰ります】

どうやら、この一言は男の人には(こた)えるらしい。

……あら、いいカン、してるじゃないの?

わたしは顔を上げて、将吾さんの顔をまっすぐ見据えた。その瞬間、彼の身体(からだ)が電流が走ったかのように、びくびくっ、と震えた。

「……今、初めて、結婚したヤツらの、自分の嫁が世界一怖い、って言ってた気持ちが、死ぬほどわかった」

青い顔をして、将吾さんがつぶやいた。

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