政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
そのとき、デスクの上の電話が鳴った。
「……はい、副社長室でございます」
わたしは渡りに船、と受話器を取る。
『副社長のお母様からお電話です』
……めずらしいな。
「少々お待ちください」
『いえ、副社長にではなく、朝比奈さんにです』
「えっ、副社長のお母様が……わたくしに、ですか?」
思わず出た声に、傍にいる副社長が怪訝な顔になる。
『では、三番でお願いします』
わたしは三番をプッシュした。
「……お待たせいたしました。朝比奈でございます」
副社長は執務室に戻って行った。