政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
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前庭に設けられた来客用の駐車スペースに、将吾さんのマセラティのグランカブリオが停まっていた。濡れたように艶やかな漆黒のボディに、ひときわ冴える真紅のシート、そしてホイールのピカピカ輝く銀色が朝陽に反射して眩しい。

まさか「彼のクルマ」の助手席(ナビシート)に初めて座るのが「最後」の日になろうとは……

だけど、そんな感傷的な気分を嘲笑(あざわら)うかのように、マセラティは唸りを上げてエンジンを回転させて発進し、路上に出た。

……なんて近所迷惑な音を出す車なの?
見た目には申し分ない車だが、向こう三軒両隣で生息されるのだけは御免被りたい。

「……ねぇ、将吾さん、どこへ行くの?」

将吾さんはなにも言わず、ただ前方を見つめてハンドルを操作していた。

マセラティは環八通りをしばらく走ったあと、用賀ICから首都高三号線に入った。渋谷方面へ行く道だ。

ということは……代々木上原のわたしの実家に、送っていくつもりなのだろう。

カーオーディオからはのヘレン・メリルの ♪You'd Be So Nice To Come Home Toが流れていた。

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