政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

「ま…真っ昼間なんですけど」

時間はもうすぐ正午になろうとしていた。

「今からなら、まだ『朝』だな」

「この部屋、カーテンもないよね?」

さんさんと降り注ぐ太陽の光が、憎らしいほど(まぶ)しい。

「最上階だし、このマンションより高い建物はこの辺りにはない」

「こんな明るいところで見られるのは、ちょっと……」

「おまえのカラダは、すでにかなり知ってるから気にするな」

……将吾さんの実家を出て以来、食欲がなくてちょっと痩せてしまったのよっ。
ここだと、よりささやかになってしまった胸の隠しようがないじゃん!

「悪いが、シャワーは省略だ」

な…なんで?
……っていうか、もう決定事項!?

「水も湯も使えるが、バスタオルはおろか、タオルすらここにはない」

将吾さんがわたしの方に近づいて、間を詰めてくる。

「……だから、おれがシャワーを浴びている間に逃げようと企んでも無駄だ」

将吾さんがわたしの肩をぐっ、と引き寄せる。
わたしはつんのめったようになり、彼の胸に飛び込む形になる。

将吾さんがわたしをきゅっ、と抱きしめる。
ジプシーウォーターの香りがふわっと匂う。
なんだか妙に懐かしくて、ほっとする。

「……おまえ、また痩せたんじゃないのか?」

そういえば……結納前に「人工授精で子どもを得たい」とわたしが申し出たために険悪になったときも、食欲がない上に不眠も重なって痩せたんだっけ。

そのとき、ふと、気がついた。

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