政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
海洋はダイニングの椅子から立ち上がって、こちらに歩いてくる。
「……突然、出て行くな。あんな時間に」
目の前まで来て、ふわり、とわたしを抱きしめた。
「心配するだろ……彩」
わたしのためにかけまくっていた電話での海洋は、普段の無愛想なまでの冷静沈着な姿からは想像もつかないほどテンパっていたと、だれもが口を揃えて言っていた。
「……ごめん、海洋」
わたしは顔を上げ、彼の漆黒の目を見て謝った。
すると、海洋の顔が近づいてきて、わたしのくちびるを捉えた。
つい先刻、将吾が重ねてきたくちびるだ。
びくっ、とした拍子に、ふわっとくちびるが開いた。すかさず、海洋の舌が潜り込む。
たちまち……お互いの舌が絡んでいく。
……海洋が教えてくれた、キス。