政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

わたしは使っていたゲストルームに入った。
海洋は部屋には入って来なかった。

ハンズプラスの赤いスーツケースを開けて、残していた衣類を詰めていく。
手早くすべてのパッキングを終えたわたしは、部屋を出た。

廊下の奥に、海洋が腕を組んで立っていた。

彼の顔を見たら、やっぱり「哀しい涙」が込み上げてきた。

……海洋……さよなら……

だけど、がんばって彼の方を見て微笑んだ。

だって、わたしはこれから「うれしい涙」しか流せない人と一緒に人生を歩んでいくのだから。

……ありがとう……海洋……

お互いの「初めて」をいっぱい共有した人。
心が百パーセント満たされるほど海洋を愛したことに、後悔はひとかけらもない。

わたしは、ドアを開けた。


……すぐ向こうに、将吾がいる。

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