『ツインクロス』番外編
「…別にどうもしない。呼び出されて、ムカついて、全員伸してやった。それだけだよ」

「おおっ!やはりワイルドッ!」

「………」

嬉々としてる長瀬と、絶句してる雅耶。

やっぱ、聞いても仕方なかったネタだろ?


だけど、長瀬がまた身体を乗り出して喰い込んで来た。

「それでそれでっ?その後は、どうしたのさ。ボスは大人しく引き下がっちゃったワケ?」

「いや…。その後、随分と根に持たれて毎日散々嫌がらせ受けたんだよな…」

思わず遠い目になる。

「嫌がらせ?まさか、懲りずに喧嘩売られたとか?」

雅耶が痛々し気に聞いて来る。


「いや、喧嘩じゃなく…告白?」


「は…?」

雅耶が固まった。

長瀬は…何処か嬉しそうだ。


「最大の嫌がらせだろ?図体の大きな強面の奴に毎日待ち伏せされてさ。ふざけんなっての…」

思い出したらまたムカついてきたのか、冬樹はブツブツ文句を言いながら、二人の先を歩いて行ってしまった。



「…な、冬樹チャンの言ってたアレって…。絶対嫌がらせじゃない、マジなヤツだと思わない?」

「あー…だろーなぁ…」

ウチの学校のドS教師がいい例だ。

「ある意味、伝説作っちゃったんだねェ。冬樹チャン…」

「ははは…笑えないよな…」


番格の三年生の不憫さに同情する、二人なのだった。

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