異世界征服
彼女の翅は蝶の形。
しかし話を聞けば、翅の形はそれぞれとの事。
…ディスにいた彼女の仲間も、いろんな翅の奴がいたらしい。

だからと言って、翅が生える前はどんな翅なのか、分かる訳ではない。
彼女曰く、俺は悪魔なんじゃないか、と言うが。
俺としては、別にどんな翅でも構わない。
ただ、悪魔のような翅になるのは、少し癪なので嫌だったりする。

「槙くん、何かある?」
これは質問の事だろう。

「じゃあ。その、“アイツら”が出たら光るんだよな?」
「え?うん」
「つまり、出ていない時間帯がある訳だよな?」
「そうだね」
「その時間帯は、“アイツら”は存在がないってことか?」

そう。
もしいる間に指輪が光るのなら、普段はいないことになる。
それでも光らないということは、存在自体が変わっている事。
あくまでこれは、俺の推測。

「正確に何処にいるのかは判らない。けど、多分帝国」
彼女は続けた。
「帝国は、ディスを壊した奴ら」

恨みのこもった、けど諦めたような、そんな言い方だった。
「つまり、“アイツら”ってのは、帝国の手下になるのか?」
「うん」
つまりは、敵の中心核は帝国。

帝国がディスを壊し、まだ残る彼女を潰そうとするのが“アイツら”。
そういう事になるのか。

「帝国には、他にもいるよ。魔物も人間も」
厄介だな……。
「その人間も、プロが使えるのか?」
「うん」
帝国とは実力勝負、そうなってしまうな。

「わかった。充分だ」
俺は話を区切った。
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