Past Life 〜生まれ変わりだとしても〜
ホームルームが終わると、誰かが博紀の席に小走りで近づいてきた。
あの整った顔は……山本先生だ。

「田中くん、申し訳ない。『例の小説』を持ってくる約束をしてたと思うんだが……家に忘れてしまってね……」

急いで向かってきたせいか少し息が上がっている。
その息づかいに少しドキッとしたがそんな思考を博紀はすぐに黙らせた。
余計な思考だ。

その直後に、今度は小説が読めないという落胆が押し寄せてきた。

でも……
誰にでも物を忘れることもある。
それに……
山本先生は朝一番に謝りに来てくれた。

そうして、自分の気持ちを整理した博紀。
そして、山本先生に対して

また今度で大丈夫ですよ。

そう伝えようとした。

しかしその時、山本先生から予想外の言葉が飛び出して来た。
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