ワケあり同士が付き合ったらどうなんの!?
僕は仕方なく屋上に行った。

「さて、璃斗君。突然ですが血は欲しくないですか?」

「んーどうしよっかな。」

普通ならしない会話だが僕にとっては普通の会話。
と言うのも僕の父親はヴァンパイアであって、僕にもヴァンパイアの血が流れているため、定期的に血液を飲まないと倒れてしまう。
今までも妹の血や小春の血で凌いできた為、小春はご飯の時に聞いてくるのだ。

「遠慮は良いんだよ?」

「んー、じゃあ少しだけ血を貰っても良いかな?」

「勿論だよっ!」

そう言うと小春はボタンを2つほど外しブラウスを開けて首筋を露わにした。
ヴァンパイアは首筋から血を吸うので血が吸いやすいようにしてくれたのだ。

「いくよ。」

「んっ…」

僕が噛みつくと一瞬ビクッとしてから息が荒くなった。

それもそのはずでヴァンパイアは牙から催淫効果のある毒を出す。
正確には催淫効果の副作用がある麻酔毒を出すのだが…
これがないと痛くて吸われてる方が大変だからだ。
といっても強くは無く、血を飲んでいる間しか効果はない。

約1分後、僕は小春の首筋から口を離し血が流れ出てくるのを舐めとった。

ヴァンパイアの唾液には多少の治癒能力が有るため血を飲んだ後は舐めて傷を癒やすのだ。

「美味しかった?」

「まぁ、飲み慣れてるし美味しかったよ。」

「じゃ、お弁当にしよっか。」

僕と小春はお弁当を食べた。
小春のお弁当は全て手作りで手の込んでいた。
まぁご飯に桜でんぶでハート型を書くのは要らなかったけど…

その後少しゆっくりしてから教室に戻ろうとしたら香椎さんが茶髪の男子2人と話していた。

やっぱああ言うのと話すんだなぁ…

「ねぇ、璃斗君愛梨(めぐり)ちゃん嫌がってない?」

小春がそう言ったので見てみるとそのようで、嫌がっていた。

「まぁ、クラスメートだし助けるか。」

僕が男子2人に近付いて片方の手を掴んだ。

「んだよ?」

「香椎さん、嫌がってるみたいだし離してあげて。」

「はぁ?てめぇには関係ねーだろ?てかてめぇどこ中だよ?うちの中等部には居なかったよな?」

まぁ離すわけはなく…
喧嘩をふっかけてきたのかな?

「僕は去年イギリスに居たからね。」

「んだよ。外人かよ。」

「んー。一応ハーフだから日本人でもあるけどね。」

僕は冷静に訂正した。

「んなこたぁどーだっていいんだよ。てめぇ俺ら相手に勝てると思ってんの?」

「逆に聞くけどヤクザの家系相手に勝てんの?」

ま、ハッタリだけど…

「なっ!こいつヤクザかよ!」

「こいつボコって親呼ばれたらやばくね?」

「チッ…いいよ。そんなビッチくれてやんよ。」

さすがに僕もこれには頭にきた。
女の子を想像でビッチ呼ばわりは許せない。

「んー。取りあえずさ、香椎さんをビッチ呼ばわりしたの訂正してくんない?」

僕は笑顔で聞いた。

「はぁ?事実言って何が悪ぃんだよ?」

「訂正して…くれないかな?」

僕が男子の手を強く握って口だけ笑いながら言った。

「ひぃぃ!わ、悪かった…ビッチとかもう言わねぇから許してくれ。」

「分かれば良いんだよ?」

僕がもう片方を見ながら言った。

「わ、悪ぃ。」

2人はそそくさと去って行った。

「璃斗君流石。睨むと目つき悪いね。」

小春が駆け寄ってきて言った。

「まぁ、見た目がこれだから完全にヤンキーだよね。」

自分はそんなに気にしてないけど睨むとかなり目つきが怖くなるからかたいていは睨んだだけで逃げてくれる。

「あ、ありがと。」

香椎さんが言った。
やっぱ恐かったよな。
少し涙目だった。

「別に気にしないで香椎さん困ってたみたいだったし。」

「そっちもだけど…
あーしが悪口言われたとき訂正しろって怒ってくれて…」

「んー。人を見た目で判断したとしてもそれを口に出すのは好きじゃナインだよね。勿論僕も第1印象で判断しちゃうけど、口に出すのは流石に許せないんだよね。」

僕もギャルだから普通に話していると思ってたし。

「それでもありがとっ!東雲…だっけ?優しいんだね。」

「璃斗でいいよ。香椎さん。」

「あーしも愛梨でいいよ。」

「最初はあいりかと思った。」

「だよねー。愛でるっていうじゃん?そこからめぐりなんだって。」

「小春とは大違いだね。」

僕がからかうと小春は頬を膨らませた。

「ひっどーい。」

「小春はたしかお母さんが春だからだっけ?」

愛梨さん小春と仲良いのかな?

「うん。お母さんが春って名前だから…」

キーンコーンカーンコーン

「チャイムだ…」

「教室戻るか。」

僕たちは3人で教室に戻った。

その後午後の授業も学年ごとのオリエンテーションやら、今後の行事予定の説明やらで終わった。
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