御曹司と婚前同居、はじめます
どういうこと? もしかして、瑛真も創一郎さんの気持ちに気付いている?

創一郎さんは唇のはしに微かな笑いを浮かべた。その表情にますます混乱する。

まだ叫んでいるまやかさんを無視して部屋から退出すると、ブラックカードで支払いを済ませて足早に外へ出た。

駐車場ではたと気付く。


「あっ。荷物を車に置いたままだ」

「……タクシーで来たんじゃないのか」


眉間に皺を寄せて、創一郎さんの車を睨みつけている。

あー……これ、車内で二人きりになったのを怒ってる感じかな。


「すぐに必要なものか?」

「ううん。あっでも、スーツだから皺がついたら困るなぁ」

「スーツ?」


しまった。瑛真にはまだ面接の件について話しをしていない。


「えっと……」

「創一郎に連絡しておくから心配しなくていい」

「あ、ありがとう」


てっきり突っ込まれるかと思ったけれど、瑛真は意外にも聞き流してくれた。


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