御曹司と婚前同居、はじめます
「だったらあの時そう言えばよかったじゃない」

「まやかの前だと創一郎も素直に喜べないだろう」

「やっぱり瑛真は創一郎さんの気持ちに気付いていたんだね」

「当たり前だ。美和も知っていたのか」

「もしかして、って思ったのは今日だけどね。ところで、俺の真似事って何?」


ずっと気になっていたことを聞いた。


「どうも昔から俺の真似をするんだ。同じブランドの服を着たり、同じ美容院に通って似たような髪型にしたり」


そういうことだったんだ。趣味が似ているわけではなく、創一郎さんが似せようとしていたのね。


「あいつのことは弟のように思っているし、それくらいなら可愛いものだと気にもしていなかった。それが女関係にまで首を突っ込んでくるようになった辺りから、度が過ぎているなと――」


口が滑ったというように、ハッとして口元を手で隠した。


「女関係ねぇ」


じーっと見つめると、瑛真は観念してうな垂れる。


「この際だから全部話す」


少しでも機嫌を取ろうとしているのか、優しい手つきで私の頭を撫で始めた。

ちょっとくすぐったいな。

つい頬が緩んでしまう。
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