御曹司と婚前同居、はじめます
 ◇



家の中のものについて簡単に説明してくれた後、瑛真はパウダールームで足を止めた。


「美和が先に入ってくれ」

「ダメだよ。そこは家主の瑛真が先に入らなくちゃ」

「風呂上りに着替えを手伝ってもらいたいから、美和も綺麗な状態の方がいいと思う」

「あー……そっか。じゃあ早めに入るね」

「ゆっくりでいいよ。下着類も用意してあるから心配しなくていい」


にこやかな笑顔を振り撒きながら言うことじゃないんだけど!

逃げるように奥の部屋へと駆け込んだ。

クローゼットの中には淡い色合いの、セクシーというよりかは清楚系な下着がずらりと用意されていて、あまりの衝撃にしばらくその場から動くことができない。

コレ、瑛真の趣味なのかな……。

勝手に入ってくるなんてことはないだろうけど、念の為にルームウェアで下着を隠して置いておく。

それは思い過ごしに終わり、着替えを済ませてリビングへ戻ると瑛真の姿はなかった。

さっきまで閉じられていた寝室の扉が開いている。
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