人工未来画

-平和-

-西暦2250年。
世界の技術は発達しコンピュータ及びロボットは進化。
特にロボットの進化は著しく、外見は人間と大差なくAIの技術により自己の意思をもつようになった。
いつの日か人間と、“R”と呼ばれるロボットは共存するようになった-





「明理さん、明理さん!」

バタバタと忙しく階段を登る音。
時々、ズルッ バタッ!という転んだのであろう大きな音も。
声だけでもわかる。
これは…

「おはよう、メイ!」

「はい、おはようございます明理さん!」

私たち橘家の専属ロボット・メイだ。

背中まで伸びた栗色の髪。
少し垂れた、エメラルドのような緑の瞳。
いつも弧を描く唇。

とても愛らしい我が家のR。そして友人。

「朝食の支度ができてますよ。優夜さんはもうすでに食べています」

「え、お兄ちゃんもう食べてるの?」

「はい!」

制服のリボンをきれいに結び、1階に下がる。
広がったリビングにあるテーブルではお兄ちゃんがおいしそうにスクランブルエッグを食べていた。

「遅かったな、明理」

「お兄ちゃんが早すぎるの!どうせ今日も5時頃に起きたんでしょ、おじいちゃんじゃない!」

そう私のお兄ちゃんは早起き。
というか、くそ真面目というか。
昔からテストは校内でトップ。
今や私の通う櫻田高校の生徒会長。
それでも自分の向上のために努力してる人。
毎日遊び呆けている私とは大違いってわけ。

私もお兄ちゃんに追いつこうと思って努力してるけど残念ながらテストは中間層。
唯一といってはなんだけど、運動神経の良さには自信があるんだよね。
ただの運動バカってこと。

「優夜さんは朝から生徒会の集まりがあるんですって」

ほんと大変ですよね~と、のほほんと話すメイ。
私の友人メイは今日もかわいい。

そんなメイは足が1本しかない。
Rの外見は人間と大差ないため、通常二足歩行だが。
これには訳がある。
私が幼い頃、事故に遭いそうになった私を助けたために片方の足を失ったのだ。
それでも日常生活に支障なく家事をこなす。
素晴らしい友人だ。

「んじゃそろそろ行ってくる。ありがとうメイ、今日もおいしかった!」

朝食を食べ終えたお兄ちゃんが席を立ち、礼を言う。
かなり忙しいのであろうお兄ちゃんは、いってきますと言って家を出た。
< 2 / 6 >

この作品をシェア

pagetop