意地悪上司は私に夢中!?
何をしゃべればいいのかなんて、そんなの一つだった。

ずっと言いたかったこと。

一番言わなきゃいけないこと。


目元を拭って、しっかりと永瀬さんの瞳を見つめた。

「…永瀬さんのことが好きです」

永瀬さんは少し目を見開いたあと、ホッとしたように穏やかに頬を緩めた。

私の頭を引き寄せ、コツンと胸に押し当てて、背中にぎゅっと腕が回される。

「…よかった。
俺もう…お前にとって特別な存在にはなれないんだと思ってた」

私も背中に手を回してぎゅっと掴んだ。

少し上体を離した永瀬さんが、目を閉じて私に顔を近づけた。

睫毛が触れそうな位置まで見届けて、私も目を瞑った。

すれ違った分だけ、気持ちが膨らんだ分だけ、触れた唇の感触が愛おしい。

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