意地悪上司は私に夢中!?
ピンポーン…

夜9時すぎ、インターホンが鳴った。

さっきラインがきていたから相手はわかっている。

今更ながらそわそわしてしまう私。

髪の毛を軽く手櫛で整える。

「お疲れ様です」

ドアを開けると、暑そうに顔を歪めて永瀬さんが立っていた。

「おう、お疲れ」

リビングはエアコンがきかせてある。

中に入るなり永瀬さんは生き返ったように、あーっと気持ちよさそうな声を出した。

「永瀬さん、あとでいいんでGチェックしてください。
他にもいたら怖いので」

気持ちよさそうな顔をしていた永瀬さんがうんざり、というように肩を落とす。

「業者じゃねーっつってんだろ」

「いいじゃないですか。この前もやってくれたし」

永瀬さんは小さくため息を吐いて、私に背を向けた。

「…またGが出たら俺んち引っ越して来ればいいじゃん」

「え」

ドキンと胸が鳴る。

永瀬さんの顔は見えない。

だけど…首の後ろをかいてる。

きっと照れてる。

思わず口元が緩んで、そのまま背中に抱きついた。

「うおっ!?びっくりさせんなよ!」

「…永瀬さん、好き」

…また首をポリポリ掻いてる音がする。

思わず笑ってしまった。

「何笑ってんだよっ」

永瀬さんは自分の癖に気づいていない。

しばらくこれだけで楽しめそうだ。




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