意地悪上司は私に夢中!?
今日は新しいクライアントとの打ち合わせがあるんだろう。

スケジュールを見ると、午前中永瀬さんは外出、午後からはチームミーティングになっている。

こんな日は電話番と、昨年度分の書類の整理だ。

たまりにたまった昨年度分をなんとかしないと、デスク下の足元どころかデスク上まで占領されて仕事にならない。


隣の島の矢島チームをちらっと見ると、向こうは冬に入った仕事が大詰めで忙しそうだ。

アシスタントの戸田さんとバチっと目が合って、戸田さんは口をへの字に曲げて肩を竦めた。

まるで海外ドラマみたいな大袈裟なポーズだけど、多分『忙しくて嫌になっちゃうわ』という意味合いなんだろう。

返事代わりに苦笑いを返した。

デスクに戻ろうとした永瀬さんが、あ、そうだ、と振り返った。

「今日飲み会だからな。寝ぼけて忘れんなよ」

「忘れないですよ。寝ぼけてってなんですか」

「曜日感覚すら危ういんじゃないかと思って」

「失礼な!ちゃんとわかってますよ!」

私の言葉はさらっと無視して永瀬さんはデスクに戻っていく。


…ほんとムカつく。

何なのあの人。

他の人には普通に接してるくせに。


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