独り占めしても、いいですか?
その時、お母さんは海外に演奏のため飛び立っていて、家には透とお父さんの2人きりだった。



突然苦しみ倒れたお父さんと、どうしていいか分からずただ立ち尽くしているしかできない透。



偶然透の家にご飯のおすそ分けをしに来た凛のお母さんのおかげで病院に運ばれたけど…



透のお父さんはもう…



手遅れだった。



それから透は部屋に引きこもった。



仕事は一時休業、学校も欠席続き。



もちろん凛とのデュエット曲の作成も、延期になった。



誰がなにを言ってもダメだった。



もちろん私でもダメだった。



ご飯もろくに食べず、運動もせず、透はどんどん痩せ細っていった。



そんな中、毎日透の家へ通い、ドアの向こう側へ語りかけていたのが凛だった。



その日の授業のこと・給食の不満・私や秀ちゃんや優ちゃんのこと…



そして、毎日『歌を歌おう』って誘ってた。



透の声はいつも返ってこない。



けど一度だけ、根気強く毎日通った凛に、透が『歌いたくない』って言ったことがあったんだって。



全然プラスの言葉じゃないのに、それを聞いた凛は『透が応えてくれた!』って、嬉しそうに大騒ぎしてたっけな…


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