何度でも恋に落ちる
「千夏っ…。明日はサヨナラは絶対に言わないでね?私、それだけは聞きたくないからね」


「うん、大丈夫だよ。私は“またね”としか言わないから」








翌日。

荷物運びの手伝いに来た翼と隼人。



2人はずっと抱き合ったままの千夏と真弓を見て苦笑いしていた。



「おい、真弓。いつまで千夏ちゃんに引っ付いてるんだよ。荷物運び終わったから帰るぞ」


「やだっ!私やっぱり千夏といる!!結婚なんかしない!!」


「はぁ!?何言ってんだよ。……翼も何とか言ってやってくれよ」



翼が2人に歩み寄ると、真弓はキッと翼を睨んだ。




「持田さんになんか千夏あげないんだから!」

「それは困ったな」



翼は眉を寄せて微笑むと、真弓の頭をポンと叩いた。




「俺の代わりにずっとちーのそばにいてくれてありがとう、橋本さん。…もう大丈夫だから」



翼の笑みを見た真弓は、ゆっくりと千夏から体を離した。




「永遠の別れじゃないよ。大学の頃みたいに、いつでも隼人と家に来ていいんだからね。…ちーも待ってるから」


「もう。持田さんには適わないなぁ…」



暫く4人で笑い合った後、隼人と真弓と別れた千夏と翼。




車に乗り込もうとした翼が千夏を見ると、千夏は空を見上げていた。




「…ちーは涙を堪える時、空を見上げる癖があるんだね」


「え?そうかな?」


「うん。…俺、隼人からちーを紹介してもらう前にも、ちーを見た事あるんだ。その時も夕焼け空を見上げながら涙を堪えてた」




いつの話なのかわからない千夏は、首を傾げる。
< 101 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop