何度でも恋に落ちる

「お待たせ。持田さん背高いから見つけやすいね。…それより隼人、どう？私、可愛い？」



真弓は隼人の腕に絡みつくと、期待の眼差しを隼人に向ける。



「何で真弓は甚平なんだよ。普通女なら千夏ちゃんみたいに浴衣着るだろ！」

「だって甚平の方がラクだし。私は何でも可愛いでしょ？」



隼人と真弓がいつものようにじゃれ合うのを見た翼は、千夏に歩み寄った。




「ちー。浴衣着たんだね」

「うん。夏しか着れないからね。下駄がちょっと歩きにくいけど」

「凄く可愛い」



ニッコリ笑う翼を見た千夏は、浴衣を着てきた甲斐があったと喜んだ。




「ちー、はぐれないように手繋ごうか」

「うん！」



２人は手を繋ぐと、沢山の人で賑わう祭りを回って歩いた。


そんな２人の後ろをついて歩く真弓と隼人。



屋台から香る美味そうな匂い。
笛や太鼓の音色。
人混みの群れ。


祭りならではの風景を楽しみながら、翼の大きな手を強く握り締める千夏。



その全てが幸せだった。




「何か食べる？ちー、お腹空いてない？」

「うーん、リンゴ飴食べたい」

「よし。じゃあリンゴ飴売ってる屋台探そうか」



２人は人混みをかき分けながら屋台を探す。



やっとこ見つけたリンゴ飴の屋台で飴を購入すると、千夏は嬉しそうに頬張った。


その千夏の姿に優しく微笑む翼。