何度でも恋に落ちる
「ちー、一口頂戴」



翼が屈んで口を開くと、千夏は翼にリンゴ飴を差し出した。


翼はシャリっと一口リンゴ飴をかじる。



「…甘い」

「そりゃ甘いよ。翼、甘いの苦手なのに食べたがるなんて珍しいね。お腹空いてるの?」

「ううん。ちーが美味しそうに食べてるから食べたくなっただけ」



翼がペロッと口の周りを舐めて笑うと、千夏も翼に笑みを向けた。



そんな和やかな空気が2人の間に流れていると、翼を呼ぶ声が聞こえた。




「翼?」



声がした方に2人が振り向くと、後ろに女の人が2人立っていた。




「やっぱり翼だった。翼も来てたのね」

「佐藤さんと並木さん」



世間でいう浴衣美人の2人は、翼に会えて喜んでいる。




「翼。この人達、誰?」

「…あぁ、大学のキャンパスメイトだよ。同じ学科の佐藤さんと並木さん」



翼が2人を紹介すると2人はジッと千夏を見つめる。




「え?翼、彼女いたの?」

「うん。最近付き合い始めたんだ」

「へぇ〜…そうなんだ。彼女、高校生?」

「いや、俺らと同じ大学の後輩」



女達は千夏を見ると見下したように笑った。


どうやら翼を取られた事が気に食わないよう。




「後輩かぁ。だから幼く見えるのね。かっわい〜」

「翼は年上の女が似合うと思ってたけどね」



嫌味にしか聞こえない事ばかり呟く女達に耐えられなくなった千夏は、翼と手を離すと1人で何処かに駆けていった。



「ちー!?」



後を追おうとする翼を女達は止める。




「あんなお子ちゃまな彼女、翼には似合わないわよ。私達と回りましょう」

「そうよ。あの子に翼は勿体無いわ」



翼は掴まれている腕を振り払うと女達に笑みを向けた。


笑っているのに笑ってない笑顔。
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