何度でも恋に落ちる

8・side of 翼

― 翼side ―




実家に帰り、ベッドに寝そべって目を閉じた。



目を閉じると段々と眠気に襲われて、いつの間にか眠ってしまった。







思い返せば俺はいつだって

その場の雰囲気に流されてるだけで


本気で好きになった相手と付き合った事なんて一度もなかった。




あの子と出会うまでは…







「隼人、彼女出来たの?」

「おう。新入生なんだけどね、真弓っていう結構可愛い子でさ」



新入生って…

まだ大学生になって1ヶ月も経たない子かよ。



よく見つけたなぁ。




「翼はどうなんだよ。彼女作らねぇのか?」

「うん。今はいらないかな」

「ふーん…。お前、そんなにイケメンなのに女に無関心だよな。勿体ねぇ」



高校までは、彼女という名前だけの女の子を作ってきたけど、最近はそれが面倒くさい。



今度付き合うなら、一生一緒にいたいと想える子がいいな。


次にする恋が最後の恋になればいい。




そう思っていた時だった。




大学から駅までの帰り道をいつものように歩いていた俺の目に、1人の女の子が映った。




寂しそうな
切なそうな

でもどことなく強気な瞳で



群集の中を歩きながら、夕焼けに染まる空を見上げている女の子。



体が小さいその女の子は、人込みに揉まれてふらつきながらも空から目を離さない。




あぁ…

この子、涙が零れないように空を見ているんだな。


声をあげて泣く事に慣れていないのかな?





夕日で輝く彼女の瞳を見て彼女が空を見上げていた理由に気付いた俺は、儚げに憂いている彼女に心を奪われた。





もちろん知り合いでもない彼女と再び会う事はなく、俺もすぐに彼女を忘れた。
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