物理に恋して

「デジカメ貸してみ?」

「え?」

先生は、ベッドの上に置いた委員長のカメラをひょい、と持ち上げる。

「あ、だめ、勝手に見ちゃだめ」

「なに。あやしーもんでもあるの?」

「いや、たぶん、ない、と思う」

「ふーん」

甘い空気はもうなくて、
いつもの先生のいじわるな顔だ。

「だって委員長のだもん、中身わからないよ」

そう言ってわたしもベッドから降りた。

先生はカメラをいじっている。

「俺返しとくから、部屋戻れ」

「え、でも、」

「こんな格好でうろうろしてたら、ーじゃなくて」

「え? ..」

聞き返そうとしたら、

「くしゅ、」

急に寒くなってくしゃみをしてしまった。

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