物理に恋して



お弁当が食べ終わる頃。

コト、とテーブルの音がした。

見ると、プリンが置かれてる。


「デザート。」


...先生にプリン!

なんか似合わなくて、可愛くて、それから、嬉しくて。



「いいんですか?」

思わず声が上ずる。


「ん、これは保健の先生行っちゃったし、おやつ分」


そう言って袋に入ったプリンをもうひとつ、わたしによこした。


「先生は、食べないんですか?」

「いっぱい食べて治しな」



そう言いながら、頬杖ついて、見てくるから、プリンが食べづらい。


「いただきます、」


甘いカスタードと苦いカラメルが、身体と心にしみる。



先生の横で。



贅沢なデザートを、小さなスプーンで味わった。
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