物理に恋して
ミーティングが終わり、ほとんどの職員が引率のためロビーに向かう。
「あれ、有馬先生も体調悪い?」
ついさっきあいつの名前を挙げてた、養護教諭が、俺を覗き込むようにやってきた。
手には救急箱がぶら下がっている。
「いえ、大丈夫です」
「昨日強制的に連れてこられたんでしょ? 信頼されてる講師はつらいよね」
“講師” の言葉に反応しつつ、苦笑いで応える。
「仕事、持ってきてます?」
「ええ、今週末の3年の実力テスト、まだ仕上がってないので」
俺は抱えてるノートPCを見せる。
「仕事してていいですよ、会議室にいてもらえれば全然問題ないし」
「助かります」
「お昼は、もし秋野さん体調戻ったら会議室かオープンスペースで食べましょうか」
「そうですね」
養護教諭は明るい表情で頷くと、お弁当の予約確認しないと、と言って忙しなく会議室を出て行った。
