物理に恋して
「有馬先生は、超冷静だったよ。」


いつの間にか浮かんだ月に優希ちゃんの横顔が照らされていた。


「冷静?」


意味がわからずに聞き返す。


「うん、どんな問題も全問正解。動じないって感じ」

「…そっか」



先生を思い出す。

昨日は物理の授業があったけど、今日は見かけてもいない。

どんなネクタイだったかもわからない。

辺りの暗さのせいか、なぜか急にさみしくなった。


─ やだな、隣には優希ちゃんがいるのに。


さみしいと思う自分が悲しい。



「早くテスト終わってほしーね」


月を見上げてそう言った優希ちゃんに、心から賛成して、力強く頷いた。
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