風と今を抱きしめて……
絶望
~ユウ~

 保育園に迎えに行ったユウを見ると、陸は飛び出すように出てきて抱き着いた。

 ユウは、陸を連れてスーパーで夕飯の買い物をしていた。


「陸くん、こんばんは。久しぶり、又背が伸びたんじゃない?」


「あー。奈緒美お姉ちゃん」


「今夜一緒にご飯食べてもいい?」

 奈緒美はユウに目線を合わせて言った。

「やったあ!」

 陸は元気よく飛び跳ねた。


 少し前に、亜由美から『任務完了』とラインがユウと奈緒美に送られてきた。


 真矢と大輔に、嘘の会議を仕掛けたのは奈緒美だ……
 
 すべて、ユウが無理矢理頼んだのだが。


 その後、奈緒美が一緒に陸の面倒を見ると言って来たのだ。



 陸がお菓子売り場の前で足を止める。

「一つだけよ」

 ユウがウィンクする。


「はぁい」

 陸がおまけ付きのお菓子を買い物かごに入れる。


「はぁい」

 奈緒美が、期間限定のチョコレートを三種類買い物かごに入れた。


「こんなに?」

 ユウが奈緒美を横目で見た。


「この位の任務は果たしたしたつもりですけど」

 奈緒美は、陸の手を取ってレジへ向かった。


 ユウは軽くため息をつき、二人の後に続いた。

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