俺様御曹司に飼われました
『どこにいんだよ、このバカ』



聞こえてきたのは少し焦ったような悪魔の声。



「興味ないんじゃなかったの」


『バカじゃねーの、あの場で俺が本性出さないってことぐらい覚えておけよ!』



早歩きでもしているのだろうか、少し息が切れている。



「今日は帰らない」


『ふざけんな、そんなの許すわけないだろ』


「帰りたくない」


『わっかんねーな。とりあえず今どこにいんだよ』



意見を変えないあたしにイラついている様子だ。
いくらでもイラつけばいい。
そして、たくさんあたしのことを考えて……。気づけばあたしのことを好きになっていればいい。



『「あ」』



スマホから聞こえる音と公園に響く声が重なった。



「やっと見つけた」



スマホをポケットにしまってこちらに歩いてくる。



「進藤……」



立ち上がって悪魔のことを見つめてる。



「こいつ連れて帰りますね、東條さん」


「俺とお似合いって言ってたよな?」


「あー、言いましたね」



さっきの言葉を思い出すとまだ胸が痛む。

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