俺様御曹司に飼われました
「ごめん……」


「そんなオシャレしてさ……」



あたしの髪の毛に指を絡ませる。



「暁……?」



指を絡ませたその姿すら色っぽくて、ドキドキが止まらない。



「人の気もしらないで」


「な、にそれ」


「俺のことバカにしてんの?」



悪魔が見下ろすからあたしは上を見上げる。



「バカになんて……っ」


「じゃあなんでフラフラばっかしてんの?俺の傍にだけいてくれないの?」


「だって……あたし暁の気持ちがわかんない。好きだとかそういうこと言われたことないもん!」


「……心海」



あたしが叫ぶと悪魔の目が見開く。



「暁はあたしのこと好きじゃないのかもしれないけど……誰かの代わりなのかもしれないけど、でもそうだってわかってもあたしは暁が好きだから!」



言い終わって、涙が瞳から溢れてくる。

こんなふうに泣いてまで何かを訴えるのは、いままで生きてきたなかでなかったかも知らない。

それほどまでにあたしは悪魔のことが好きなのだ。

──たとえ、叶わない思いだとしても

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