俺様御曹司に飼われました
「心海!お待たせ!」



東京。
卒業式に出れなかった悪魔が、学校に手続きをしに来ていた。

たまたま休みだったあたしはそれを大学の前で待っていた。



「ちゃんと卒業できた?」


「当たり前だし。俺を誰だと……「はいはい」



言われることは分かってるので、手で暁の口を塞ぐ。



「……ったく、お前くらいだよ。俺にそんな態度なの」


「ん?いやだ?」


「いや、別に……昔からそこが好きだったから」



少し照れくさそうに話す。



「暁ってたまーに可愛くなるよね」


「うるせーな。あっちの教授にも言われた」


「教授に?」


「俺さ、向こうでクール王子とか言われてたらしいの」


「うわー」



暁は心を許した人の前でしか本性を見せず、まわりにはほんとクールだから騙される人が多い。



「うわーってなんだよ」



あたしの鼻を摘む。



「いたいー!だって、こんなにクールじゃなくてただの横暴なワガママ王子なのにね?」


「言うようになったな……」



はぁっとため息をつく。

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