俺様御曹司に飼われました
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「くっそ、なんで出ないんだよ」



帰ってくるのが遅いので、あいつに電話をしてみても出ない。



「切れてるし……」



もう1度かけてみれば、圏外のアナウンス。



「完全に拒否ってんだろ、これ」


「嫌われたんじゃねぇのー?」



横からニコニコしながら嬉しそうに言いやがる疫病神。



「……っ、うるせぇ」


「お前、ちゃんと彼女のこと大事にしてたー?」


「してた……はず」



こいつは、大学の同級生というか従兄弟でもある進藤泰治(しんどうたいち)

こいつが傍にいるとなぜか嫌なことばかりご起きる。



「明日会社行ってみるか」



恐らく、もう今日は帰ってこないだろう。



「ため息ばっかつくなよ。うぜぇな」


「うるせーよ。好きな女に愛想つかされそうになったこともねぇお前に言われたくねぇよ」


「お前だっていままでないだろ」



泰治が言う通り、いままで好きな女に逃げられたことなんかない。

思い通りにならないなんて、初めてだ。

今回も逃げられそうになるなんて。



「うまくやってきたはずだったのに」



今だって、あの時だって。
思い通りにいかないのなんて、心海くらいだ。

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